研究成果のポイント

  • カワウが栽培漁業の種苗放流アユにもたらす食害の実態を明らかにするため,カワウの胃内容物組成,カワウと餌生物の分布,及びその元素情報を多元的に分析し,カワウと種苗アユの「食う–食われる」の関係を調べた.
  • カワウの繁殖期には,魚粉を主原料とする配合飼料から種苗放流アユ,そしてカワウへと連なる人工物起源の食物連鎖が形成されていることが実証された.
  • 日本国内に生息するカワウの個体数は,1970年代初頭の時点で激減していたが,その後,急速に回復した.本研究で示された人工物起源の食物連鎖は,カワウの繁殖を支え生息個体数の回復に大きく貢献した可能性が高い.