水圏生物病理学研究室が、東京都島しょ農林水産総合センターとの共同研究として5年間にわたり取り組んできた、河川におけるエドワジエラ・イクタルリ感染症の発生要因研究が、Journal of FIsh Diseases に掲載されました。高水温と渇水という環境要因が魚病の発症要因となっていることを示した、地球温暖化の影響も考察した新規性の高い研究成果報告です。筆頭著者は、本学科で博士課程修了後、現在、愛媛大学南予水産研究センター特定研究員の竹内久登博士です。
・河川アユのエドワジエラ・イクタルリ感染症 (Ei症) の発生要因解明を目的として、2011年から2015年にかけて東京都の多摩川で本症の発生状況と河川環境の調査を実施した
・2012-2013年の8月に、特定の支流域においてのみEi症によるアユの死亡が認められた
・同時期における支流域の平均水温および水温日較差 (1日の最高, 最低水温の差) は他年より高く、また水温日較差は水位の低下に伴い拡大していた
・Ei症によるアユ死亡発生には夏季の水温上昇および水位低下による水温日較差の拡大が関与するものと考えられた